2022.1.17
2022年はどんな年?
歯学博士 秋広良昭
はじめに
2年に及ぶコロナ大流行で世界中が経済も懐も大いに傷付きました。勝者は居ません。勝者なしが問題です。歯科界存続にも将来の安全対策ビジョンが必須です。患者在って成り立つ歯科医療です。都市部ではコロナで医療機関が多数倒産しました。資源に乏しい日本は輸入に依存しております。新たな問題は円安が原因で始まる諸物価の高騰です。中国では不動産崩壊が始まりました。![]() |
歯科治療の本質は無痛検査と正確測定
予防に勝る治療はありません。病と言う痛みから逃れる為に診療所に来ているのだと根幹が判っていれば、入口の検査から除痛の方法を先ず考え、患者と術者が理解しあえる状況を作り上げていくべきです。激痛発生防止を最初から放棄しては知恵が無さ過ぎます。歯科2大疾患の虫歯も歯周病(以下Pの略称)も歯科医は経験から見て大よそが判ります。しかし、市民は虫歯の判断は出来ますがPの判定は出来ません。当然、虫歯治療はモチベーションを作り易いのですが、Pは基本検査を市民の目線レベル迄下げてからでないとモチベーションが取り難い疾患です。逆に、経験から安易にPが分かるのが問題です。注意をして測定しても、損傷があります。優しい患者は「我慢」し、非難を口に出しません。Dhに検査全てを任せ切りでは駄目です。![]() |
新患が増える優位性
経営上の実質収益も、新患1人と再来5人と同じか、それ以上です。理由は新患には先生やDhの知識を提供していますが、再診では技術や設備を提供しているからです。先進国と後進国の収入形態と同じ事をしていては同じ労働をしていても利が薄くなります。 |
P kensaと従来のプローブとの測定結果の比較
今年の3月、私の知り合いが中高校の同級生のクリニックを訪ね、P基本検査をお願いした所、表面麻酔をされてから従来の測定を熱心に実施し、終了後の洗口時の出血が凄かったそうです。その知り合いは9月に同じクリニックに「P kensa」を持参してこの器具で無麻酔下で測ってほしいとお願いしたそうです。今度は無痛下でも、以前の測定数値と同じで院長も驚いていたそうですが、の知人は洗口時の無出血に驚いたそうです。これが科学の進歩だと感じたそうです。この知人はフジフィルムの元幹部社員でした。
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おわりに
歯科がいつも飾り職人と同じ思考回路をしていては環境が激変すると消滅します。たった1個の巨大隕石で変わった地球環境を生きられず、当時、鼠の様なちっぽけな人の先祖が今の私達に成ったという進化の歴史を学ばねば繁栄はないと思います。激痛を避ける為の表面麻酔の使用は姑息な手段で、永久に根本原因の解決には繋がりません。無痛ならば受診者は暫時増えて広がります。需要が大きい分野は誰にでも必要なので優遇されます。歯科医院はコンビニより多い等と馬鹿にされては誇りも生まれません。高価な真鯛を釣ろうとする漁師は遠浅の海岸で漁などしません。海の深さとそこに棲む魚の関係を体験から知っているからです。Pでも正確な深さと特定の歯周病菌との関係が明らかになってくれば、自然にビッグデータとしてAIの利用に繋がります。さすれば、Pと多種類の疾病との正確な説明が出来なかった事象も解明されてきます。そこ迄来れば「歯科界は永遠」です。 地球上では100年前後の間隔で激しい症状を伴う感染症が大流行します。明治初めには世界的にスペイン風邪が流行して人口が激減し、ヨーロッパでは人口が1/3に迄減少した所もあったという文献もあります。新型コロナウイルス流行も『人類と感染症』の観点からすれば決して珍しい事ではありません。身近で話題になるインフルエンザや歯周病も皆感染症です。 ![]() |
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