2023.3.17
口呼吸を治せば、歯列不正と歯周病の進行が防げる
歯学博士 秋広良昭
はじめに
歯周病学会では歯周病の初発原因はプラーク中の細菌だと言います。それを信じて、多種類のうがい薬が売れています。でも、年々潜在歯周病患者は増加し続け、9千万人との報告もあります。初発原因が正しければ、歯周病が減少する筈ですが、逆に増加しております。 口呼吸とは舌筋が弛んでいると現れる症状です。この時の舌の位置が『低位舌』で、唾液の乾燥が大で、口腔内清掃能力は低下し、虫歯と歯周病が増加します。しかし、ハナタカを使うと無意識に呼吸は鼻呼吸に変わります。舌筋は緩む事で、舌の先端は下顎前歯の裏側に迄触れてきます。緩むと外側方向に被さる様に押す状況で舌体積も増えます。下顎歯牙臼歯群の舌側面に触れています。上顎の成長を促す際も、舌が下顎に下がっていては顎を押し広げる期待は出来ず、若年者だと、上顎は狭窄歯列による叢生を防げません。 更に、舌が下っていると歯列を外側に押すので空隙歯列(すきっ歯)や反対咬合(受け口)の原因にも成ります。鼻呼吸の舌が口蓋に触れているのが理想的です。下歯牙が舌のタルミで押し出され、僅かに傾斜移動する弱い咬合性外傷の悪影響で、先ず歯頚部近心付近の骨部に小さなV字型骨欠損が生じます。 口腔内細菌は常在菌です。存在だけで炎症を発症する迄は悪くありません。でも、骨にホンの僅か骨欠損を生ずれば常在菌にとっては格好な繁殖出来る場を得た事に成ります。咬合の過重負担に依る外傷で炎症を生み、骨に欠損を生じた結果の産物です。負担過重が継続する限り、骨の欠損部は広がります。人が対象では菌が繁殖しているのを連続して変化を観察する事はできないので誤解したと思います。 |
歯列の歪み
臼歯群の歪みは近心に倒れつつ外側に向かうので、先ずは歯牙の近心側から頬部に向けて骨欠損を形成する傾向があります。下顎前歯群は前方の方向に傾くので、影響は骨よりは寧ろ上顎歯牙唇側に喫状欠損として現れます。 歯周病は複合的原因 外傷への抵抗力に差異がある様に、骨欠損の速度も人様々です。しかし、歯石の存在繁殖次第では骨の復元はできずに歯周病菌の症状は順次重篤に進行し手遅れとなります。 歯周病初期発見にパノラマ写真撮影の活用 下顎歯牙歯列は底舌位の影響で小臼歯近心部に外傷性の影響が出易く、パノラマ写真なら骨欠損の確認に有効で、市民は自身の歯周病現状確認と治療の動機付けに有効となります。 |
むすび
歯周病は容易に治りません。しかし、早期発見ならば進行が防げます。低位舌は舌の弛緩状況を示し、下顎歯列を外側に押し出す目安だと知って貰えれば、それが他愛ない目安でも、早期発見の為に市民の舌位置認識は啓蒙活動として大事です。分かれば口呼吸発見の切っ掛けとなり、歯周病の早期発見にも繋がります。歯周病罹患の早期発見は生活習慣病の減少にも繋がるので、医療費改善にも繋がります。 |
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