2021.12.7
無痛は歯科治療の間口を広げる
歯学博士 秋広良昭
はじめに
「痛み」と「潜在患者の数」との関係
一昔前、「癌」が見つかった時は既に末期癌の状況で手遅れでした。癌発見=死を意味しておりました。今でも発見状況が遅いと結果は昔とさほど変わっておりません。今は癌=死と言うイメージを市民は持たず、早期発見すれば、癌は完璧に治癒できると言う意識に変わりました。自覚症状待ちではなく、主に尿や便から癌診断を可能に変えました。 歯周病も同様です。早期発見出来れば治る病気です。無痛で診断できる様に、プローブの先の疼痛原因を改良し、正確に深さ測定が出来れば受診動機は好転します。潜在歯周病患者が今は8千万人だそうです。激痛と出血が受診しようとする動機を萎えさせた結果です。その原因が解明され事を市民が体験し、認識・納得したら、誰の目にも膨大な市場の広がりが見えます。自分の身の回りの市民に早く実体験させた順から状況は一変します。 |
市民のトラウマ
激痛の記憶は長く鮮明に市民に残ります。悪態の口コミも流行ります。激痛を怖がる人ばかりです。定期検診を回避されて当然ですが、当の歯科は何で検査に来ないのか想像出来ません。日頃熱心に勉強し、研鑽を積んでいても患者が来ないのでは宝の持ち腐れです。 |
難問題の解決
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歯周検診には「無痛」が勝利・繁栄の方程式
「検査は無痛」を市民に広めましょう。常日頃、歯周検査で痛くない事を広めておけばやがて無痛の噂は広がります。市民の心理は何か納得が無いと歯科医院を変える事はしません。虫歯の治療出来た方も歯肉の腫脹発赤があれば無痛の歯周検診をすれば、その事で宣伝になります。仮に私が今般のクリニックの院長なら、歯科界の苦境を抜け出す為にはどうすると思いますか?⓵社会保険は出来高払い制ですから患者数の多い方が優遇されます。多数の潜在歯周病患者を呼び込む方策を考えます。②歯周病重傷者は専門医に任せ、軽症患者の治療をする。⑶予防治療に重点を置く。患者との信頼関係が深ければ、歳を取ればいずれ訪問診療の対象にもなります。歯周病の検査で痛くない歯周検査が出来る様になったので、歯周病で流れを呼び込み、高齢者にも訪問歯科診療迄の流れを私なら作ります。 |
既成概念を打ち壊せ
ディスポ製品が200円だと「Pkensaは高い」と言われます。価格は経費の合算から200円になりました。歯周病の恐ろしさを怖く思っている市民にとっては無痛なら気軽に受診したいと願う気持の方は大勢います。無痛の商品の噂が生まれれば市民の関心は当該先生に向きます。保険で基本検査は200点。200円で足は出ません。更に、「無痛の口コミ」が広がれば従来のプローブを使い続けるクリニックからも新患が移って来ます。初診料や基本検査の呼び込みも可能になるならば200円の出費等安い宣伝費です。市民は痛くない治療する先生=名医だと誤解しています。痛みの不満の市民は「いわゆる名医を血眼になって」探しています。口コミは自然に起きますが、クリニックからも生じさせたいものです。 |
ふるさと納税
行政は国民が嫌がる納税を知らないうちに納税させる、実にうまい方法を考えたものです。納税してくれたら故郷の特産品をあげて、税金も購入代から控除しますよと言う制度です。この様な制度を考え、実行する役人がいるのに驚きです。この納税はかなりの高額になり、福祉等に使われているそうです。Pkensaは無痛が売りですが、正確測定でビッグデータがAIで応用可能になれば将来の歯科界の科学環境を一変させる筈です。 |
おわりに
時代は変わります。歯周病と全身疾患との関連の時代です。その延長線の先に歯周検査が有ります。「正確測定の数値」の先に見えてくる事が想像出来ずに変化を求めないのは良くない事です。「正確測定の数値」をビッグデータにすれば歯科が医学をリードする先端分野として歯科は凄く面白く、先が無限に広がる医学分野だと思っています。 |
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