個人的無意識の先の発明・発見はコロンブスの卵
歯学博士 秋広良昭

はじめに

発明・発見は種明かしをすると「何だそんな事か」と拍子抜けされます。ところで、沢山潜在歯周病患者がいても夫々のクリニックにとっては患者候補です。未だ患者ではありません。歯周病になり将来の大病が不安であっても受診して初めて患者です。気持ちの上では市民誰もが歯周病の早期発見、早期治療を望んでも、過去の受診時の激痛と出血の記憶が邪魔をして、躊躇いを繰り返す内に、何年も時間が経過して潜在化してしまいます。人は肉体的激痛を極端に嫌います(痛さが病状の進行と誤解もしております)。同様に、検査後の洗口時にスピットに吐き出す出血を見た時に精神的なおぞましさ(重症だ)を感じます。
先生方は身に付けた知識・経験や技術も市民に患者として接し、治療しなければ未だ「単なる市民」です、2点改善して患者にならない限り、クリニックには何も生まれません。

集合的無意識から高齢者を含めて潜在歯周病患者数は8,000万人

数年前、教授と歯周病についてお話しました。教授曰く、「秋広君、殆どの国民は歯周病に罹患しているよ。私も罹患しているかもしれない。けど、プローブが痛いから検査を受ける気もしない。ありゃ~痛いから。」教授も痛さを知っているのに改良に手付かずです。改善目標が決まれば、後はコロンブスの卵です。受診母集団とも言える潜在歯周病患者が8,000万人もいる、これを異常と感じない人は異常です。誰もが歯周検査を受けねばと言う気持ちにさせる為に、接触面を平面した等分布荷重器具にすれば良いだけの話です。こんな簡単なこと誰でも分かります。でも、一筋縄では行きません。平面は頬舌側挿入の際は溝に沿う様に入れても、臼歯部隣接部では幅が広過ぎて入らないのです。先端部を回転し平行にする必要があります。さもなければ先端が曲がった幾種かのプローブが必要です。

Dhの思い込み

Pkensa開発目的は潜在歯周患者撲滅です。歯周検査時に無痛ならば受診者は増加する筈だとの思惑で開発です。サンプルを10名のDhに試して頂きました。痛み報告は皆無で当初の目的を達しました。しかし、数人のベテランDhからポケット底部に到達した感じは判るのだが途中ある歯石にぶつかった感じが分からなかったという報告が有りました。このPkensaで苦労したのはどの様なメカニズムなら、歯石と遭遇した際に無理強いせずに歯石を乗り越えるかでした。プローブ先端が大小の歪形態の歯石に遭遇した際に、如何いう形態なら流れる様に抵抗なく、測定を継続できるかの解決に「タイヤの溝」と「包丁の刃」の角度を参考にして決めました。シナル材料なのでDhでも歯石との遭遇を全く感じなかった様です。

おわりに

虫歯氾濫の時代は終息しました。今は歯周病氾濫の時代です。歯周病と全身疾患の関連性が朧気ながら浮かび上がって来ました。更なる歯科界の前進の為には正確なビッグデータ作成が必須です。『勘・経験』の手探りの深さ測定から、如何に安定した科学的根拠を作れる様に脱皮するかでこれからの歯科界の盛衰は変わります。大雑把なエビデンス?ではビッグデータには使えません。誰もが安定・精緻な測定が唯一無二の歯科界隆盛の決定打です。

ドクターコラムTOPへ戻る