2022.11.8

長生きしたい人は読んでください
歯学博士 秋広良昭

はじめに

科学の進歩に伴い、新生児から高齢者迄の死亡率が減少し平均寿命が延びました。これからも更なる病気予防分野で解明が待たれます。快適な睡眠、免疫能力の強化、誤嚥防止がそれらに当たります。これら多くと関係するのが表情筋関連と言えます。注目されて来なかったのは「鼻部の筋組織(鼻中隔下制筋・鼻筋・鼻根筋)の解剖生理学」の解明の遅れの為ではないかと感じます。ハナタカは小さな工夫の集積の賜物で生まれた器具ですが、人々の前に横たわっていた健康生活維持の為の関所手形で乗り越える小さな補補助具です。


1番目の関所

口輪筋と繋がる鼻部の組織は呼吸筋の始まりです。同様に呼吸が出来ても、必要量が皆同じだとは言えません。呼気の量も体格・発育・年齢等で変わります。適正量も違います。身体は多数の組織の集合体ですが、組織は更に多くの細胞の集合体でもあります。個々の細胞内部にあるミトコンドリアが体内に取り込んだ酸素で、エネルギー代謝を司っています。ミトコンドリアに必要量酸素を供給できていないとストレスの原因となり何れ、何かの発病を生じます。呼吸筋による酸素摂取に問題があると「所謂、病弱」の始まりです。

鼻部の筋組織(鼻中隔下制筋・鼻筋・鼻根筋)
鼻根の筋組織は片端もしくは2端が皮筋で終わっております。皮筋で終わるとか、終末部が明確でないと負荷応力が不明確で、筋力も疲労し易く、期待効果も減少します。キッチリと負荷を掛ける必然性がでます。今回開発の鼻呼吸補助器具は鼻部の筋組織を辿る様に終末部と思われる所迄に期待した負荷がかかる形態に工夫しました。

鼻部の筋組織筋終末部に負荷が掛かると舌が挙上する現象
鼻腔に鼻部の筋組織終末部近く迄、負荷が掛けられる補助器具を挿入すると舌が自然に挙上し、口蓋に触れて来ます。口蓋に舌が触れる状態になると原理的に口での呼吸は出来ません。この現象は、口呼吸は舌挙上に関連筋力の総力が弱い為に生じる結論で、習慣でも癖でもない証明です。明らかに、小児なら鼻部の筋組織の委縮で大人ならば老化の証です。

2番目の関所

鼻中隔下制筋は鼻孔を広げるように働く筋です。鼻中隔下制筋の起始は解剖図を見れば上顎切歯上方の上顎骨から起こり、上方に向かって鼻中隔下部粘膜組織にて停止しています。最近のITでは鼻筋奥部の筋と粘膜下組織で繋がっていると記載されています。

鼻筋は横部【鼻腔圧迫筋と鼻翼部】【鼻孔開大筋】の2筋からなります(グレイ解剖学)
横部(鼻腔圧迫筋)は筋繊維が上顎骨前面梨状口外側縁と鼻翼相当部から起こり、内上方に走る。鼻背の腱膜で左右の筋繊維が合流する。鼻翼部(鼻翼開大筋)は、上顎骨前面梨状口外側縁と鼻翼相当部鼻翼軟骨を外下方に引っ張ることによって鼻腔を拡張する筋です。筋繊維は、横部の起始部よりも内下方の上顎骨から起こり、鼻翼軟骨に終わる。



鼻根筋の起始停止
鼻骨と外側鼻軟骨から起こり、眉間の皮膚に停止します。
鼻筋各筋組織の総合的働きは無駄がなく、その総合的機能を知る事が大切です
鼻部各筋組織の働きを知る事も大切です。鼻部の総合的筋組織の働きは人が健康維持する為にもO2摂取して、Mt のTCAサイクル維持と同時に脳の活性化を図る事が大事です。

10年後の日本

前述した様に、日本は既に超高齢化社会です。医療費総額が年々増えて、後期高齢者医療負担も1割から2割に増えました。高齢者だけが増え、若者が増えない日本の社会構造をちょっと考えてみて下さい。高齢者全体医療費の増加を、若者だけでは賄いきれません。医療費総額を維持できません。10年後に今の医療保険制度が存在できるか分かりません。国民も困りますが、医療関係者もタダ働きに成るので困ります。特に、「怖い、痛い、の高額治療イメージの歯科」は制度崩壊時に真っ先に、患者激減です。今から市民にかかり付け医としての信頼を構築しないと、自分の子供達に満足な教育を受けさせられなくなります。 自立した高齢者を作り出す策はどうですか?



「子供を産めよ・増やせよ」の施策もありですが、ちょっと待って下さい。幼児が大人になる迄、この制度では維持不能です。即効性が必要です。これからの歯科関係者は、自己防衛の為にもしなければならない喫緊の改善策があります。それは、「高齢者のイメージ」は介護人が必要だと思われるのが原因です。世の中に僅かに、自立した高齢者もいます。医療費が軽微で済む自立高齢者を増やす施策を考えましょう。次の3点と考えます。
  • 呼吸方法を改善し、細胞のミトコンドリアに十分な酸素供給して、エネルギー供給する。
  • 酸素濃度の高い脳血流を増やして、脳の活性化を図ること。
  • 誤嚥をさせない為にも、確実に構音機能、摂食機能、嚥下機能を活性化させる
その解決には口呼吸の形態とその弊害を知る。鼻呼吸の形態と長所を理解する
1) 口呼吸の直接的弊害:口腔内は唾液が湿潤している事で健康が守られています。口呼吸の唾液乾燥が虫歯、歯周病、歯の黄ばみ、口内炎、口臭、咽頭機能低下の原因です。 
2) 口呼吸の間接的弊害:イビキ、(ストレス)睡眠時無呼吸症候群OSAS、糖尿病始め各種の生活習慣病が生ずる。小児期の口呼吸は舌側面からの圧力で歯列不正が生じます。
呼吸時の舌の位置が大事です(注意しましょう)
口呼吸の形態:上下の口唇が開いている。舌は下に下がっている。
仮性鼻呼吸:上下の口唇は閉じているが、舌背が口蓋に触れていない
⑶ (真正)鼻呼吸:舌が口蓋に触れている

パタカラとハナタカの効果確認迄の期間について
両者は共に表情筋と脳の活性化に働きます。効果発現迄の時期が違います。パタカラは構音機能や摂食・嚥下機能の活性化に重きを置いております。口腔筋組織全体は大きく、改善迄に1か月程時間が必要です。後遺障害で片麻痺の市民に勧めると信頼に繋がります。一方、ハナタカは一部の表情筋負荷で脳血流活性化に働き、鼻呼吸は口呼吸の弊害予防をします。呼気速度を速めると大量の酸素も取り込めます。呼気増量は直ちに変化が出ます。遅くとも改善効果を装着直後から、遅くても2~3日で確認出来ます。


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