2023.8.18
インプラント治療の普及は歯科にとって
干天の慈雨です
歯学博士 秋広良昭
はじめに
インプラント治療は良い評判が広がると、市民の間で一瞬触媒に普及する要素があります。概ね歯科治療は、時間や費用が掛かります。解決して治療が完了後にも、細心のメンテナンスが必要です。市民の危惧はインプラント治療結果が長期間使用に耐えられるかです。通常のメンテナンスで問題なければ、歯列不正、咬合異常、歯牙欠損補綴等々で悩む市民は沢山ですから、これらの悩みが一瞬で解決出来るならば革命です。安全性からも医科での人工骨移植は受診者に盛んです。反面、歯科でのインプラントは成功例であっても数年の短命と言われます。 原因は、人工骨移植は全てが体内に留まり、細菌等に曝されることがない、反面、歯科では人工歯牙の一部が咀嚼の為に口腔内に露出しており、細菌と人工物が接触するからです。今の人工歯根材質の親和性だけを問題視して、ケアを物理的に擦り落とすだけでは限界があります。人工歯根表面を唾液で洗い流しながら、ガス状物質を応用して殺菌する必要があります。ガス状物質が人体に無害で常に潤沢に供給される必要があります。呼吸時に副鼻腔毛細管内皮細胞の膨張収縮の際に作られている一酸化窒素NOがその働きをしております。 |
一酸化窒素NOの働き
鼻腔と副鼻腔とは自然孔で繋がっており、呼吸の際の気圧変化は副鼻腔に影響を及ぼしています。副鼻腔で生まれたNOは自然孔から鼻腔へと流れ、咽頭を介して口腔に流れます。NOは特異なガスではなく、体内に入り込むウイルスや細菌を殺菌する為に身体の他部でも作られています。口腔内は清潔に見えても細菌の巣とも言われます。見える汚れを擦り取る(物理的ケア)だけでなく、見えない汚れも、左図の様に一寸した隙間から唾液で流しつつ、水色で示すNOガスで殺菌できれば良い( 医学的口腔ケア )と考えます。
ハナタカ鼻腔挿入が鼻腔粘膜皮筋を刺激し、舌が微妙に挙上、鼻呼吸へと変わります。吸気時の排気を上・中鼻道方向に向けたので、副鼻腔自然孔を介してNOが供給されます。 口腔ケアはブラッシングが主役でした。歯磨き粉を使えば除去成果も不明で、歯周病菌の存在を隠すに役立つだけです。歯根と歯肉の間に空間が在る限り、清潔意識が無くとも、睡眠中でも、如何に狭い隙間でも、歯周病菌殺菌に潜り込むNOのガス状態が望ましいのです。 |
ドクターコラムTOPへ戻る