2020.8.24
「オーラルフレイル」その前に
はじめに
超高齢時代が医療・福祉に限らずあらゆる方面で巨大津波の様に押し寄せ社会や仕組みを根底から変換させつつあります。皆がリーダーにならなければならない時代です。
ちなみに、リーダーとは希望を配る人の事です。 |
「未来を考えない人に未来はない」
先ず私は「老化の推進原因」を論ぜずに議論をしても何も得る事はないと思います。
何処の老化が一番老化の悪影響を及ぼすかを考えるに、生物進化に伴う歴史からミトコンドリアとの共生を考えるべきです。 原始の地球で私達の先祖であった原始の細胞は原始の海で只々細胞分裂を繰り返す無性生殖の繰り返しで寿命という問題は皆無でした。原始の海でミトコンドリアと出会い、これを取り込み、共生できたことから新しい活動の幕開けが始まりました。それ以降の細胞は組織を形成、より効率的な生命活動の為に生体も特定機能を司れる様に止まる事を知らずに複雑・進化して来ましたが、複雑化しても「決まっている原則」は組織の細胞は必要十分量の酸素をミトコンドリアに供給すれば、ミトコンドリアがその代償に確りとエネルギー代謝を完結し、細胞は正常活動を続けられると言う事です。 |
古くから信じられて来た事
昔から医食同源などと言われる様に食事の質が大事と信じられてきました。
空気は目では確認不可能ですから必然的におざなりになりがちです。自分が必要十分量の酸素を取り込めているかいないか分かりません。鼻と口の筋組織が老化・萎縮すると顕著になります。脳の進化でより沢山の酸素量を必要にしているのに酸素が充足出来ていない状況が続くと問題です。 所で、鼻中隔下制筋の起始部は上顎中切歯・側切歯歯根附近で口輪筋の下層で始まり(口輪筋と吻合しております)、鼻腔底部粘膜組織付近で終わっております。鼻腔粘膜を下方に広げて鼻腔入り口を拡大する働きがあります。流体力学を基本に考えると理論的には鼻腔の入り口が広く深部で狭くなると吸気の流速が速くなり、その分吸気流速が早まり理論的に大量に取り込めることになります。 *野口英世は「努力だ。勉強だ。それが天才だと」と言ったそうですが、解剖学を逆読みできる人は多くの筋組織は末端部で付近にある他の筋組織と吻合して連動します(典型例が口腔筋機能です)。鼻中隔下制筋に確りと負荷を加えると口輪筋に影響を与えます。口輪筋は下顎翼突縫線で他の種類の筋組織と吻合しています。ここで特に記憶にとどめて頂きたいのは上咽頭収縮筋と吻合している事です。 |
進化が待ちどおしい人
今の人類の機構では「新しい人間」としての条件を満たす程に進化に追いつけないでいると仮定します。酸素消費は先ず脳組織が優先で、脳が進化しても呼吸機能がまだ進化していないと脳は酸欠状況に成り先ずは「頭痛」が頻発する事でしょう。 |
歯科医師だから違和感なくできる発想
無歯顎で食物を咀嚼できない人にでも食物を噛み砕ける為に如何すれば良いかの発想に慣れている歯科医師ならば吸気総量を増やす発想等は頭から無理だと決めつけません。アイディアは最初から無理と思うと新発想は生まれませんが出来る筈と思い思案を巡らすとアイディアは生まれ易いのです。 |
具体的に皆さんも日常経験していることかもしれません
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むすび
空気という、見えないで当たり前だった事に気付くと新しい利用方法の発見が生まれます。鼻呼吸総量を増大する器具が発明されたのですからこれを利用して空気充分な快適な生活を過ごさない手はないと思います。快適な生活が細胞の劣化を防ぐだけでなく老化を送らせてくれるからです。空気を多く取り込む器具の発明は月に初めて降り立ったアームストロング船長の言葉を借りれば「人類にとっては小さな1歩かも知れませんが将来の大きな進歩につながる事」かもしれません。 人を老化の一言でかたづける前に、人であるために最も大切な司令塔である「脳の活動(脳血流)」とエネルギーを生み出す「ミトコンドリアへの十分な酸素供給」と言う2大条件が常に充足されていてこそ、初めて「細胞の老化」を送らせる事が出来ると考えます。 「オーラルフレイル」の考え方では組織の老化の先駆けシグナルが口にあると論じていますが、その前に、酸素不足から来る細胞・組織の劣化が先に立つ呼吸器官の衰えから老化が始まるとの考えが先に来るべきだと考えます。 鼻中下制筋の老化が始まると鼻呼吸がし難くなり次第に口呼吸へと変わります。 口呼吸自体は虫歯や歯周病に止まらず口腔内の環境を悪化させますが、口腔筋そのものも老化の影響を受けて口腔筋の働きのバランスの乱れ=口腔筋機能不全を生じます。 身体の老化を遅らせるためにも、表情筋(特に口輪筋)と鼻中隔下制筋のストレッチ(リハビリ)が大切だと思います。 |
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